ロッシェル・カップ(@JICRochelle)さん、ちょまど(@chomado)さん共著の「マンガでわかる外国人との働き方」の発売イベント、「外国人との英語での働き方講座」に参加してきました。
マイクロソフト本社で外国人に囲まれながら仕事する日本人であるちょまどさんによる経験談と、「英語の品格」をはじめとして日本人が外国人と仕事する際に役立つ書籍(まだ読んだことないのでタイトルからの推測です、、)をいくつも執筆しているロッシェル・カップさんによる解説、また日本人と韓国人のハーフでアメリカ出身の野村アレックスさんによる、海外で働く際の心構えなどが聞けるという、とても勉強になる講座でした。
このブログではその中から、僕が特にいろいろ考えさせられた、勉強になったことを振り返ってみたいと思います。イベントのまとめが知りたい方は、他の参加者の方のブログがとても役立ちますので、そちらをご覧ください。(一覧を主催のちょまどさんがまとめてくださっています)
参加の背景
振り返りの前に、今回このイベントに参加した背景ですが、せっかく国の違いが気にならないエンジニアという仕事の、さらにフリーランスという働き方になった身として、海外の案件で仕事してみるのも面白そうだなー、というざっくりとした感じの理由です。
少し真面目な話では、Coinhive裁判や無限アラートの一件などをウォッチしていて、「その気になったら海外に移住してでも働ける」スキルを持っておくことは人生の選択肢を増やす上でも大事なんじゃないかと思った、というのもあったりします。
とはいえこれまでの英語経験と言ったら大学での1年のシンガポール留学を最後に、仕事では数回の打ち合わせや、直接仕事で絡みのないスウェーデン人の同僚との日常会話程度のもので、「英語で仕事する」イメージが全くわかないのが正直なところだったので、ちょまどさんのような実際に英語で仕事をしている日本人やロッシェルさんのようなその手の議論をずっとしている方の話を聞きたいと思った次第です。
では、以下本文です。
「自分が日本人代表」という意識
まずは野村アレックスさんの講演で出てきた「自分が日本人代表という意識で」というお話。
アレックスさんがどんな意図でこれを言っていたかは聞き逃してしまったのですが、「自分が日本人代表」という言葉を聞いたときに思ったのが、普段自分たち日本人が海外の人たちについて話すときに「アメリカ人は」とか「中国人は」など主語がとてつもなく大きくなってしまうのと同様、向こうからも「日本人は」という目で見られてる、ということでした。
それはつまり、彼らからすれば自分は「典型的な日本人」で、自分の言動はすなわち「日本人の言動」としてとらえられてしまう、ということなのだと思います。
実際長い付き合いがあったり、他の日本人との交流が多くあれば、「おや、もしかして一言に日本人と言ってもいろんなヤツがいるらしいぞ?」となるのかもしれませんが、それほど多く日本人と交流がある方というのもまれだと考えると、やはり「自分が典型的な日本人」と認識されてしまうことを意識しておく必要があるのかな、と思いました。
英語の正確さを気にして発言できなくなる
「自分の英語が正しいかを気にするより、とにかくしゃべってみる」というお話がありましたが、たしかに日本人は「正しい英語を話さなければならない」ような意識が強く、英語を話すことを躊躇する場合が多いのではないかと思っています(僕もです)。
それは日本の教育においてテストの点数(「正しい」か「正しくない」か)が重視されたり、答えのないディスカッションの時間や文化があまりなかったり、それを助長するかのように「あなたの英語、正しいですか?」のような煽り文句のノウハウ本が次から次へと発行されたりと、色々なところに原因があるのだと思います。
そんな空気の中、「とにかくしゃべってみて」と言われてもやっぱり最初の一歩が出ないことってあるんじゃないかと思います。
しかしちょっと視点を変えると、例えばアメリカから来たロッシェルさんのような方が慣れない日本語をしゃべっていたりすると(いや、ロッシェルさんの日本語はとても上手ですが)、たとえそれが片言で間違いだらけであってもネイティブである日本人側が理解しようと歩み寄るように、きっと我々日本人が片言で間違いだらけの英語をしゃべっても相手は理解しようとしてくれるはずです。きっと。
また、お話の中でアレックスさんがおっしゃっていたように、母語として英語を話す人口というのは、英語を日常的に使う人口のたったの2割程度です。ということは通常英語で仕事をする際、向こうもまた「頑張って」英語を話しているのです。
さらに別の視点では、たとえ英語をネイティブで話している人たちだったとしても、その「英語」は国や地域によって様々です。シンガポールのいわゆる「シングリッシュ」とアメリカの英語は言葉選びも発音も違いますし、アメリカの中でも西と東、北と南、移住元の国など様々な要因でまた全然別の言語になるようです。
といろんなことを考えていると、だんだん「片言でもカタカナ英語でもいいじゃない」という気になってくるのではないでしょうか?
以前常駐していたとあるメーカーでは、海外支社のメンバーとカタカナ英語で当たり前のように毎週打ち合わせしている方がいらっしゃいました。外国人と英語で働けるようになるには、そんな感じが良いのだと思います。
バックグラウンドがほぼ同じ日本人
日本は他の国と比べて、島国であったり長い間ひとつの国として侵略されることがなかったりといった要因から、比較的バックグラウンドが共通の人が多い国です。バックグラウンドが共通している、ということは、一を言えば十が推測できることが多く、このあたりが日本人は「察する」文化であると言われる所以なのではないかと思います。
一方、例えばアメリカなどは、原住民に始まりスペインからの移民、イギリスからの移民、アフリカ系、中南米系など、様々な人種、様々なバックグラウンドを持つ人たちで構成される国であるため、一から十まで全てを説明しなくては伝わらなかったり誤解が発生したりしてしまいます。
これは、外国人と話さなくても、日本語に翻訳された洋書を読んでみればなんとなく感じられるのではないかと思います。一つの事柄に対する長い説明、豊富な例え話などは、いかにも「洋書」感を感じられる部分かと思いますが、これも一から十まで説明しないと読者に伝わらない、という状況がそうさせるのだと思います。
ということで、日本人も(バックグラウンドを共有していない)外国人と話す際は「これで伝わるだろう」ではなく、一から十まできっちりと整理して話すことが大事である、ということなのだと思います。
日本人同士で話すときは状況説明をちゃんとする
日本人数名と外国人が参加する会話で、日本人同士の会話が日本語になってしまう現象、僕も身に覚えがあります。どうしても「日本語が通じる」という安心感と「日本語の方が効率的」という感覚から日本人同士で日本語で話してしまい、外国人を置いてけぼりにしてしまうのですが、その場合はその場合でちゃんと事前に「ちょっと日本語で話させて」と断り、あとで「こんなことを話しました」を共有することが大事である、とのことです。
これを聞いて思い出したのが、(ちょっと話は飛びますが)僕がよく見るヒカキンさんのゲーム実況動画です。
ヒカキンさんのゲーム実況がすごい点はいくつかあるのですが、その中の一つが「ちゃんと状況を説明する」ということです。動画の最初にはその動画内でやろうとしていることを説明し、操作をミスったら何がどうミスってどうなったのかを説明し、面白いことがあれば自分だけで笑うのではなくその面白さを言葉で説明し、という具合に、視聴者が置いてけぼりにならない工夫がトークのいたるところに散りばめられています。
どうも人は置いてけぼりにされると心象が悪くなり、逆にちゃんと状況を説明されて何がどうなっているのかがはっきりすると安心するようです。日本人同士日本語で話すことが効率や正確さの面で大事になる場合もありますが、その際もちゃんと前後に説明をすることが大事、とのことでした。
「あおい」は母音が続いて発音しづらい名前
英語がネイティブの方にとっては、母音が続くと発音しづらいそうです。がんばれうちの子、、、!
ちなみに僕の名前の先頭の「つ」も、10年前の留学中に交流のあった韓国人や中国人には発音しづらい音だそうです。台湾(香港だったかも)には同じ発音があるそうで、このあたりの名前の読みやすさ、読みづらさも国によってあるんですね。
韓国人や中国人が洋風なニックネームを使うのもそのあたりが理由だとか。確か。
まとめ
他にもいろいろありましたが、全部書くと長くなりそうなので一旦ここで切りたいと思います。その他考えたことについては僕のツイートを見ていただければ嬉しいです。
話を聞きながら、「とは言ってもこの手の話って結局主語が大きいから参考になるのか分からないよなあ」という穿った見方をしていたのですが、考えてみると「その国で『良い』とされる考え方」というのは確かにあるもので(日本の「空気を読む」、アメリカの「自分の意見をどんどん言う」など)、その違いやどの国では何が良しとされるのかを認識しているだけでも、外国人とコミュニケーションとって仕事する上では大きなプラスになるんだということを考えました。
その上で、自分の考えたことを伝える英語力というのは確かに必要になるので、それはそれで磨いていきたいところです。
ちなみに現在はうちの子供たちがハマっているとあるディズニーアニメを英語で観てみたりしています。”The Boring Flutter Development Show“なんかの技術動画も、我々エンジニアの英語の勉強としては良い感じです。
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