やっぱりGitHubは「設計図共有サイト」ではないと思う

MicrosoftがGitHubを買収した件を日経が記事にした際、GitHubのことを「設計図共有サイト」と説明したことがエンジニアの間で話題になっています。

主な主張は「ソースコードは設計図ではないよ!」というもので、他にも「まあ非エンジニアにはソースコードって言っても伝わらないから『設計図』になったんだろうね」という意見、「いや、ソースコードは確かに設計図だよ」という意見もあるようです。

そのような意見を受けて、日経の記事のタイトルは「開発者向け共有サイト」に修正されました。

ITの世界は確かに非エンジニアにとって(というかエンジニアにとっても)分かりづらい概念と難しい専門用語であふれているため、ここまではまあよくある光景かな、という気もするのですが、「じゃあGitHub自身はどう表現しているのかな」と思ってGitHubのaboutページを見てみると、上のどの意見も的を射ていないのではないかと考えさせられます

GitHub is how people build software

これが、GitHubが自身のサービスを一言で表したものです。キャッチコピーですね。

そして、文章による説明が以下のように続きます。

We’re supporting a community where more than 28 million people learn, share, and work together to build software.

ざっと直訳すると、「GitHubは、2,800万人以上の人々がソフトウェア開発のために学び、共有し、一緒に作業するコミュニティをサポートします」となります。

確かに「共有」という言葉は使われていますが、それはあくまでより良いソフトウェア開発の環境を実現するための要素のひとつでしかありません。

GitHubがやりたいのはソースコードを共有することでなく、よりオープンに、より簡単に、より高度な開発を、より多くの人が楽しめる環境を提供することです。そのことは、今回の買収にあたってGitHubの @defunkt が公開したブログに書かれています。

We both believe that software development needs to become easier, more accessible, more intelligent, and more open, so more people can become developers and existing developers can spend more time focusing on the unique problems they’re trying to solve.

少し話は逸れますが、先日開催された Microsoft Build 2018de:code 2018 で、MicrosoftはAzureをはじめとした製品で「開発者の支援に力を入れる」ことを強調していました。それを考えると、GitHubとMicrosoftの目指すところが「よりよい開発環境を」という点で一致していて、今回の買収はそれが形になったと見ることができるでしょう。

話を戻すと、GitHubはソースコード共有事業がしたいワケではありません。ソフトウェア開発者にとっての共通言語であるソースコードがインターネットで公開され、そこに世界中のエンジニアが集まり、Pull RequestやIssueを通してより良いソフトウェア開発をするための議論が行われ、参加する個人個人のアカウント情報から新しい仲間を見つけることができる。そんなプラットフォームを提供することが、GitHubの目指すところだと思います。

それを考えた上でもう一度「設計図共有サイト」という言葉に戻ると、いかにこのネーミングが的を外しているかがはっきりと見えてくるかと思います。そして、それは「ソースコード共有サイト」「開発者向け共有サイト」も同様です。

、、、とここまでエラそうなことを言うと、「じゃあ代替案を出してよ」という声が聞こえてきそうですが、すみません、代替案は特に無いです。たとえば同じくらいの文字数で無理やり訳すなら「ソフトウェア開発プラットフォーム」とかでしょうか。いや、ざっくりすぎてよくわからないですね。。。宿題にしておきます。

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